嫌われる勇気とは
国内累計208万部、世界累計485万部を売り上げたベストセラーです。
有名な本なのでご存知の方も多いかと思います。
心理学の三大巨匠の1人、アドラーが構築した心理学を題材に執筆された書籍です。
内容は、「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という哲学的な問いに、きわめてシンプルかつ具体的な答え(タイトル)を提示したものとなっています。
このレビューでは、「嫌われる勇気」の内容に少しふれ、嫌われる勇気で納得しきれなかったところを全く別の角度から「サピエンス全史」が解説してくれていたので、その内容を紹介したいと思います。
嫌われる勇気が10倍面白くなる知識!!
ここからは、私の憶測や感想が多分に含まれますが、この知識を最初に持っておくと「嫌われる勇気」が10倍面白くなると思います。
というのも実は、私は「嫌われる勇気」を2回読んでいます。
最初に読んだときは、言ってることはわかるんだけど、それ本当か?となっていました。
納得するための決定打がなかったというか、私がエンジニアだからなのか「エビデンスを出してくれよ。。。」と思ってしまい煮え切らない感じでした。
2回目は、「サピエンス全史 上巻」を読んだ後に何となく読みました。
ここで「サピエンス全史」の知識が、「嫌われる勇気」の煮え切らない部分をかなり補完してくれましたので、ご紹介いたします。
サピエンス全史とは
ビジネス書大賞2017 大賞受賞など数々の賞を受賞している世界的ベストセラーで、研究で分かった人類の歴史を歴史学者が解説している書籍です。
人類最古の壁画を描いていたのは、現生人類(われわれではなく)、別種の人類ネアンデルタール人だったというような考古学、歴史学の研究者なら当然だけど、一般人は知らない知識を詳しく解説してくれています。
サピエンス全史との関連(10倍面白くなる!)
サピエンス全史の中で、研究者が予測しているのは、人間の本能や感情は、狩猟採集時代に適応しているということです。
すべての生物が途方もない時間をかけて、目や耳などの形を進化させてきましたが、同様に本能や感情も進化の過程で形成されているのだと考える思想で、考古学などの研究でおおよそ裏付けられてきました。
例えば、嫌われる勇気の関連でいうと、狩猟採集時代に人に嫌われると死んでしまうから私たちは、人に嫌われるのがこんなにも恐ろしいということです。
狩猟採集時代に人に嫌われると
- 群れを追い出される → 肉食獣に食われる
- 人が攻撃してくる → 撲殺される
狩猟採集時代に人に嫌われるとほとんど間違いない形で死が訪れていました。
しかし、現代社会ではどうでしょう。
少し嫌われたくらいでは、殺されたりしないでしょうし、コミュニティーから追放されても別の受け入れてくれるコミュニティーが見つかることなんてざらにあるでしょう。
つまり、社会の急速な発展について来れていない感情として、人に嫌われたくないという感情があり、それがあなたを過度に縛っているぞ!とアドラーは心理学の方面から気づいたのだと思います。
ガンガン人に嫌われろ!という意味ではなく、人に嫌われることを過度に恐れては、現代社会では逆に生きずらいぞ!ということです。
油や砂糖が好きなのも狩猟採集時代に適用している
その他の現代社会に適用できていない本能としては、油や砂糖がやたら好きだという点です。
油や砂糖は栄養価は低いですが、カロリーが高く少量でも多くのエネルギーを得ることができます。
しかも油や砂糖は、すぐにエネルギーに変換することができたので、おいしい!と思った方が生存にとって都合がよかったのです。
しかし、現代ではどうでしょう。
食料不足とは無縁の生活をしている人の方が多いので、カロリーが高いのもすぐにエネルギーに変換されるのも特に必要ありません。
むしろ栄養価が低い方が問題だし、食べ過ぎで糖尿病になってしまう危険があるので、この本能も現代に適用できていないのではないでしょうか。
嫌われる勇気で煮え切らなかった箇所
嫌われる勇気の中で、哲人と青年が激しく議論する箇所で、アドラーの目的論というものがあります。
ざっくり説明すると、「目的が最初にあり、その目的を達成するために感情を使っている」という主張です。
人が怖いから引き籠るのではなく、引き籠りたいから人が怖いという感情を引っ張りだしてきているみたいな感じです。
これを最初に説明されたとき、そうかもしれんけど煮え切らんなぁと思っていました。
しかし、サピエンス全史を読んだら、確かに人の感情というのは、死を回避するという目的が先で、そのための感情を獲得しているのが一目瞭然でした。
ただし、これは進化の過程で獲得している本能的な部分なので、無意識のうちにその感情を利用しているのがやっかいなところだと思います。
本能が無意識的に、嫌われたくない!怖い!(目的:死にたくない!)
って言っているのを
理性が意識的に、大丈夫だ!まわりの人間は敵じゃないから勇気だせ!(死なねぇよ。。。)
って言ってやらないと現代社会に適用しにくいのだと思います。
私の感想
アドラーは心理学を100年先取した言われる天才心理学者です。
この段階では、予想に近いものがあったと思います。
数学の難問もまずは天才数学者が予想を立て、後の天才数学者が数人がかりで、その予想を証明していきます。
同じように、考古学者たちが研究する過程で、アドラーという天才心理学者が立てた予想を証明し始めているのが、エンジニアの私にとっては、めちゃくちゃ面白かったです。
(この構造がもうすでに面白い)
こういった考古学と心理学が組み合わさった研究領域を進化心理学といい、今注目されている研究領域なんだそうですよ!
嫌われる勇気、サピエンス全史
私のレビューを見て、嫌われる勇気を読んでみたいと思った方は下記リンクからどうぞ!
嫌われる勇気は、哲人と青年の議論が面白いです。
解説しきれていない考え方も多々あるので、是非一読ください!
また、サピエンス全史を読んでみたいと思った方も下記リンクからどうぞ!
分厚い本ですが、めちゃくちゃ面白い最新の研究がたくさん載っています。
さらに、人の感情が狩猟採集時代に形成されている点に触れている心理学の本
「幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない」
もおすすめします!
医師で心理療法士である著者ラス・ハリスさんの本で、ACT入門の本です。
ACTとは、不安神経症などの様々な心理的症状に効果を発揮し、心理学者の中でも盛んに研究されている手法です。
調べてみるとたくさん出てきますが、優秀な手法なので、是非一読してみてください!
ちなみに、某心理学の有名人がおすすめしていたので、購入しました。(笑)
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